先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その4 子を持って知る親の恩の話


 最近、藤田先生の家では、犬を飼いはじめたんだ。まだ生後3ヶ月なんだけど、先生ったら本当にかわいいみたい。この間も庭に落ちている小犬のうんちを、何かぶつぶつ言いながら新聞紙にいっぱい拾っているんだ。あとで聞いたんだけど「小犬をもって知る親の恩」と言ってたんだって。自分の三人の子どものおむつすら換えなかったのに。おかしいよね。そうそう二、三日前も道に落ちているタバコを食べたと知って、もう大変。あたふたと動物病院の先生に電話をかけたりして、みていられないよ。

 先生に限らず、かわいい子どもが病気をすれば親が心配するのは当たり前。特に高熱なんか出たりすると、いても立ってもいられない気持ちはよくわかります。というわけで、今回は発熱に関するお母さんと先生の会話を紹介します。

「この子また熱が出たんです。大丈夫なんですか?」

 お母さんの顔は先生に対する不信感でいっぱい。なるほど、ここのところ何回も先生の診療所にみえてます。

先生「確かに良く熱を出しているけど、毎回ちゃんと治っているし、第一元気だから全く心配ないですよ。」

 と答えはスムーズです。でもお母さんは納得できない様子。

「じゃー、どんな状態だったら心配なんですか。」

 ほらきた。先生うまく説明できるかな。

先生「一度病気をすると症状が長引きやすかったり、けいれんや呼吸困難をきたしたり、重症の嘔吐や下痢で脱水を伴う時は注意が必要ですね。」

 悪い病気(たとえば白血病)では一度病気をするとどんどん悪くなる一方なんだ。でもいい病気の時は一度は全く症状がなくなってしまうんだって。

「だったら、一体うちの子、何回病気をすればいいんですか(ため息)」

先生「一般に風邪と呼ばれて、人間に感染する病原体は、この世にはおよそ百五十種あるそうですよ。普通は子どもの間にかかり終えてしまうので、二十年で百五十回風邪をひくことになりますね。一年で平均七〜八回かかることになります。兄弟がいたり、保育園へ行ったりすると、小さいうちから早く何回も病気をもらうことになるんですよ。」

 この説明でこのお母さんはひと安心された様子。もちろん熱が長引く場合や繰り返す場合は、先生は検査を薦めているよ。でも小学校にあがる頃には嘘みたいに病気をしなくなる子がほとんどなんだ。要するに、子どものうちにいっぱい風邪をひくと元気な大人になるということなんだよね、先生。

 風邪ひいて心配するのは親ばかり。子どもは日ごとたくましくなる。


ドラえもん



トップページ > 先生のおはなし > 連載コラム「ドラえもんのポケット」 > Part1・その4

トップページ > 先生のおはなし > 連載コラム「ドラえもんのポケット」 > Part1・その4