その106 最後のふたつの巻
皆さん今日は、僕ドラえもん。突然だけど悲しいお知らせがあるんだ。それはね、先生がこの4月でドラえもんのポケットの連載をやめるということなんだ。そこで残る2回のドラえもんのポケットでは先生に今までの思いを語ってもらうことにしました。
「ドラえもんが言うように、この4月から今よりずっと忙しくなりそうなので、連載ができなくなりました。「ドラえもんのポケット」や「帰ってきたドラえもんのポケット」を10年にわたり応援してくださった読者の皆様に本当に感謝申し上げます。
こ の連載を始めたころはこんなに長く続けられるとは思いもしませんでした。長続きした理由の一つは、若い親御さんに子どもの病気を知ってもらいたいという強 い思いがあったからでしょう。医療は刻々と進化しています。つい最近まで正しいとされていたことが、間違いであったということは枚挙にいとまがありませ ん。たとえば抗生物質の使い方です。数年前まで発熱があれば抗生物質を使うことは当たり前だし、逆に使用しなければならないとも教えられてきました。今は 熱があるという理由だけでは、抗生物質を使用してはいけないというのが世界の主流です。残念なことに日本では子どもを診ているのが小児科医だけではないの で、そんなに浸透していないのが実情です。マスコミは報道しませんが、心ある多くの小児科医は親御さんにはどうしても知ってもらいたいと考えているので す。
連載をはじめてみると病気だけではなく本当にたくさんのことを書きたくなりました。医療以外のことにも触れてきました。たとえば子ども憲章の 礎を作られたコルチャック先生や小児科医の鑑である馬場先生などの多くの人が子どもを見守ってきたということをドラえもんに語ってもらいました。でも日本 ではまだまだ子どもが大事にされていないのが実情です。年金などの社会保障の財源にしか子どものことを考えない大人の多いこと多いこと。でも子どもを守る のが小児科医の務めだと考え活動している小児科開業医もいるのです。彼は子どもの事故について研究し、子どもの事故は子どもの一番の死因で、国は子どもの 事故防止策についてもっと研究するべきだと国とかけあわれてきました。途中何回も挫折を味われましたが、今大きな成果を上げようとしています。小児科医の 義務の一つとして、子どもに代わって子どものために意見を述べられたのです。まさに子どもの代弁者ですね。
子どもを安心して育てられる社会を築くことが小児科医の夢なのです。」
つづく
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ドラえもん
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