先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その8 どうも吸いませんの話


 この前、先生と一緒にドライブしてたら、前の車の運転手が火のついたままのたばこを窓からポイ。そうかと思ったら、赤ちゃんを抱っこしたお母さんがぷかぷかとくわえたばこ。

 お医者さんだって吸っているんだもの、健康のために禁煙してねって言ってもだめかもしれないけど、喫煙が他人に与える影響についてもっと知って欲しいなと先生はいつもぼやいているんだ。(先生んちの子犬が吸い殻を食べちゃった事もあるし)

 そこで今回は子どもと喫煙のお話。といっても子どもがたばこを吸うわけじゃなくて、まわりの大人がたばこを吸うと子どもがどうなるかのお話だよ。

 ところで、たばこはどうも1540年頃に種子島に漂着したポルトガル人から伝わったらしいんだ。鉄砲と一緒だね。1600年頃には毒草とか貧乏草とか言われていて、たばこの害は早くから知られていたらしいよ。

 たばこの成分の中で、健康に一番影響を与える要素(悪玉)は、ニコチン、タール分、一酸化炭素の3つ。

(1)ニコチンは猛毒で、大人でも60mgで死んでしまうんだ(子どもだったらもっと少ないよ)。2本で死んじゃうこともあるってこと。

(2)タール分は発ガン性が問題なんだ。約40種類の発ガン性物質が含まれているらしいよ。

(3)一酸化炭素は赤血球の働きをじゃまして、体全体に酸素不足をきたすんだ。

 みなさんは、主流煙とか副流煙といった言葉を聞いたことがありますか。主流煙というのは、直接フィルターから吸い込む煙のこと。副流煙というのは、反対側の火のついたところから出てくる紫の煙のことだよ。

 3つの悪玉はどちらの方に多く含まれているかというと、副流煙の方なんだ。子どもはまわりの大人がたばこを吸うと、濃度の濃い副流煙を吸ってしまうんだよ。要するに子どもの方が、吸った大人より被害が大きいってわけ。

 たとえば喘息では、父親が喫煙すると吸わない場合と比べて約3倍、母親が喫煙すると約5〜16倍も増えるんだよ。また両親が10本以上のたばこを吸うと、赤ちゃんの肺炎や気管支炎が2〜3倍増えるんだ。赤ちゃんの突然死は約5倍増えるんだよ。そして子どもの慢性中耳炎も多くなるっていうデータがあるんだ。さらに妊婦さんが喫煙すると流産が増えるし、未熟児や発達の遅れのある赤ちゃんが生まれることが多くなるというデータもあるんだ。

 たばこを吸う自由は認めるけれど、子どもの近くではできるだけ控えてね。


ドラえもん



トップページ > 先生のおはなし > 連載コラム「ドラえもんのポケット」 > Part1・その8

トップページ > 先生のおはなし > 連載コラム「ドラえもんのポケット」 > Part1・その8