兵庫県西脇市にある小児科医院。予防接種、乳幼児健診など。「子どもが子どもらしく育つ環境づくり」に積極的に取り組みます。
今月はアトピーのお話をする予定だったけど、インフルエンザが流行ってきたので、先生の外来で質問の多い解熱剤のお話をするね。ドラえもん渾身の書き下ろし作ってとこかな。 「先生、解熱剤を替えてください。これって、効かないみたいなんです」。 「じゃー少しだけ強くしてみるね。本当は強すぎてもいけないんだよ」。 あ〜あ、この会話最近じゃ毎日の事で先生少々閉口気味。最近の新聞報道で、「インフルエンザの時に使ってはいけない解熱剤がある」って載ってたから、先生とっても神経質になっている。それも、普段から小児科先生がよく使う薬なんだから余計なんだ。今日はこの事のお話だよ。 昨年もインフルエンザが大流行したのはみんな覚えているよね。この病気にはいろんな合併症があるんだけど、一番怖いのは、けいれんと意識障害をきたす脳炎・脳症と呼ばれる合併症なんだ。死亡率は高いし、治っても後遺症を残しやすいんだ。昨年1月から3月までで、181名が脳炎・脳症になり、そのうち63名が亡くなったんだ。 この181名に使用された解熱剤を調べたところ、AとBの2つの解熱剤を使った時に死亡率が高くなるって事がわかったんだ。解熱剤を使わなかった場合死亡率は25%で、Aという解熱剤を使った場合52%、Bでは66%と高かったんだ。AもBもよく効く強い薬。でも考えてみると強い解熱剤を使う時っていうのは、重症で高い熱が続いている時だと思うから、薬だけが悪かったのか体調の問題なのかわからないよね。 この2つの薬については、先生の外来で説明してもらえるよ。心配なのは、この事を知らないで、今もこれらの解熱剤を使っている医師もいる事なんだ。よく飲み薬の中に熱冷ましを入れてもらう事があると思うけど、中には2つの薬のどちらかが入っている事があるから注意してね。それと、この脳炎・脳症のほとんどが、5歳までに起こっているから、解熱剤の事を気にするのは、小学生低学年までで良いと思うって先生は言ってたよ。 42度以上の発熱は要注意だけど、それ以下の発熱は熱性けいれんさえ起こさなければ心配ない事がほとんど。熱は病気の進行を早くし、解熱剤を使わない方が早く治ってしまうというデータもあるよ。 でも子どもがつらそうなら安心できる座薬を使ってあげてね。 |
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ドラえもん |