先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その19 本当は怖くない家庭の医学の巻


 皆さんこんにちは、ぼくドラえもん。最近先生の診療所に「学校でシラミの検査をしてひっかかったので調べてください」という子どもが増えてきているんだ。そこで今回は秋の夜長に読む「本当は怖くない頭シラミ」のお話をするね。

 みんなは本物のシラミを見たことがある?・・ある日先生が頭シラミの疑いで診察室に入ってきた子どもさんの頭をみていたら虫が一匹。そっと捕まえて顕微鏡でのぞいたそのとたんギャーと言って、顕微鏡の電源を切ってしまった。後で訊いたら、「シラミはね、大きな目を持っているんだけど、その大きな目で僕をにらみつけていたんだよ。きっと私のことを怒っていたんだよドラえもん。」って青ざめていた。

 シラミがくっつき易い場所は後頭部と耳の上の毛髪部。症状は頭のかゆみと、フケ様の白いカスが髪の毛にくっついていること。この白いフケ様の物質はシラミの卵そのものなんだけど、フケと違うところは、簡単に手では取れないことなんだ。顕微鏡でみれば簡単にフケと卵を区別できるので、「怪しい」と思ったら先生にすぐ見せてねって言ってたよ。ただし「成虫が頭にいれば間違いないんだけど、卵があるからといって、今も感染が続いているかどうかは分からない。」とも言ってた。

 日本では、シラミは1970年後半に全国的流行があって、以来ますます増加しているんだ。日本だけにシラミがあるのかというとそうではなくて、英国や米国はもちろん、オーストラリア、韓国などいわゆる文明国にも広まっているようなんだ。戦後の不潔な頃ならいざ知らず、生活レベルが上がった現在でも多く見られるってこと。「不潔だからうつるということではない」って、先生はそのことをとても強調していた。まあいえば頭シラミは文明病ともいえるんだけど、日本ではシラミにかかるということは恥ずかしいことだとする風潮があるから、大人は子どもの心を傷つけないように十分配慮してあげなくちゃいけないってことだよね。

 どうしてうつっていくのかというと、ほとんど頭髪から頭髪へと直接にうつっているらしいんだ。たとえば髪から落ちたシラミが帽子やマフラーなどにくっついて感染したり、プールのあとタオルなどを一緒に使うとうつってしまうってことなんだ。頭シラミは人間の体から離れても2〜4日生きられるし、水中でも半日生きられるらしいから保育園や幼稚園、小学校でもらう子が多いことから考えても、関係者は感染経路を考えて集団感染の防止をおこなって欲しいって先生言ってたよ。

 治療は簡単で、薬局で売っているスミスリンという薬でシャンプーすればいいんだ。ただし家族全員でシャンプーしなくちゃいけないんだけどね。


シラミは絶対うつらないドラえもん



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