先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その25 子どもの権利を守った話の巻


 こんにちは、僕ドラえもん。今年ももう4月。今年のスギ花粉量は例年の30倍も多くて、ヒノキアレルギーまで持っている先生は毎日が大変なんだけど、みんなは大丈夫?

 新学期を迎えて、今日は先生が生涯の目標にしていることのお話をします。

 みんなは「子どもの権利条約」って聞いたことがある? 1989年に国連で決められた子どものための条約で、世界で192の国がこの条約を守りますって締結しているんだ。

 条約には、子どもには4つの権利があり、国や大人はそれを守らなくてはいけないということが書いてあるんだよ。



子どもの権利条約

1.生きる権利

 防げる病気などで命を失わないこと。
 病気やけがをしたら治療を受けられること。

2.育つ権利

 教育を受け、休んだり遊んだりできること。
 考えや信じることの自由が守られ、自分らしく育つことができること。 

3.守られる権利

 あらゆる種類の虐待や搾取などから守られること。
 障害のある子どもや少数民族の子どもなどは、特別に守られること。

4.参加する権利

 自由に意見を出したり、グループを作って自由な活動ができること。
 みんなも一度、読んでみてください。



藤田先生から一言》

 子どもの権利条約を勉強しているうちに、すばらしい人間に出会いました。その人の名はコルチャック先生。映画にもなったことがあるくらいだから、みんなも聞いたことがあると思う。

 小児科医で児童文学作家、そして孤児院の院長として、教育者として、生涯を子どものために捧げたポーランドのユダヤ人です。

 第二次世界大戦中、ナチスの迫害で孤児院の子どもたちがガス室送りになった時も、著名なコルチャック先生だけは助けてあげようとしたナチの提案を受け入れず、子どもたちと一緒にガス室に消えていったのです。命がけで、子どもたちの権利を守ろうとしたんですね。

 コルチャック先生については、言いたいことがいっぱいありますが、100年前に彼が残した言葉をここにあげておきます。

 「子どもはだんだんと人間になるのではなくて、すでに人間である。そう、人間なのであって人形ではない。彼らの理性に向かって話しかければ我々のそれに答えることもできるし、心に向かって話しかければ我々を感じ取ってもくれる。子どもはその魂において、我々が持っているあらゆる思考や感覚を持つ才能ある人間なのである。」

 スマトラ島沖地震の被災地では、子どもの売買が行われていると聞きます。今、日本でも死に物狂いで守るべきものがあると痛切に感じています。



ドラえもん



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