先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その39 小児科医も恐れる病気の巻


 こんにちは、ぼくドラえもん。あんなに待ち遠しかったゴールデンウィークもあっという間に過ぎちゃった藤田先生。今度は夏休みに向けて走り出している。今日はいつになくやる気満々の藤田先生がいつも気をつけている「あまり耳慣れないけど、小児科医が決して見逃してはいけない救急の病気」のお話をするね。



)急性喉頭蓋炎(こうとうがいえん)

 みんなも時々はのどをのぞいて見たことがあると思うけど、のどちんこのもうひとつ奥に喉頭蓋というものがあるんだ。これはちょうど気管の入り口にあってふたの役目をしているんだ(蓋というのはふたのこと)。空気を吸うときは気管のふたをしないんだけど 、食事をしたり水分を摂ったりするときには気管の入り口をふさいでふたをしてしまうんだ。食べたものが気管に入らないためだよね。この重要な働きをする喉頭蓋にばい菌がくっついて膿がたまった状態を喉頭蓋炎というんだ。で、膿がたまるとどうなるかというと、この喉頭蓋が腫れあがってしまい、そうなると気管の入り口が塞がってしまうということになり、そうなると息をしたくても空気が肺までと届かなくなるんだよ。これが急激に進行するから恐ろしい。風邪をひいてのどが痛そうな咳をしだしたかと思うと、すこし引っかかるような呼吸状態になり 、そのとたん顔が真っ青になって窒息状態になるんだよ。こうなってしまうとのどを切開して呼吸を送り込むしか手立てがなくなり、1分1秒を争うことになるんだ。子どもだけでなく医者も青くなってしまう病気だよね。この恐ろしい病気は案外知られていない。いつもと違ったのどの痛そうな咳がでてきたら早めに受診してね。

2)精巣捻転症(せいそうねんてんしょう)

 男の子がおなかが痛いって訴えると、ふつうはお腹に何かあるかと思って腹部を見るよね。でも診察をしても腹部には何も所見がない、腸重積を疑って浣腸しても血便がない、なんてことになれば「一晩様子見てください」って医者は言ってしまうんだけど、実は大きな病気を見逃していることがあるんだ。きちんとオムツの中までみて、おちんちんや睾丸が異常ないことを確かめなくてはいけないんだ。もし金玉袋が赤く腫れて、触れるととっても痛がれば大変。一刻を争う事態になっているんだ。これは精巣捻転といって、睾丸の付け根が捻じれてしまったため 、血液が行かなくなり、睾丸が苦しがっていると考えてもらったらいい。ほって置くと睾丸が腐ってしまうんだよ。男の子がわけもなく強く泣き始めたらお母さんもオムツの中にまで注意してくださいね。



 知らないと本当に大変。まだまだこんな病気はたくさんあるんだけど、今日はこれくらいでお勉強はおしまい。


どら焼きの食べすぎでおなかが痛くなったドラえもん



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