先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その42 自分がやらなきゃ誰がやる?の巻


 こんにちはぼくドラえもん。9月に入ってもまだまだ暑い日が続いているけど、みんなは元気にしている?

 この夏はプールの吸水口に吸い込まれて児童が亡くなるという悲しい事故があったよね。六本木ヒルズの回転扉で子どもが挟まれた事故とか、ガス湯沸かし器事故とか 、エレベーター事故とか痛ましい事故が今の日本で続出している。いったいどうなっているんだろうと夏休み中、先生は悲しむと同時に考え込んでしまったんだ。最近、先生の周りで親しい方が何人か続けて亡くなられたものだから余計に先生は神経質になっていたみたい。

 1960年以後40年以上にわたって、日本の子どもの死亡原因の第一位は「事故」だってことをみんなは知っていた? 実に白血病などの癌で亡くなる子どもの2倍以上になるんだ。事故は一瞬の間に起こってしまうから、プールの事件のように保護者がすぐそばについていても防げないことも多いんだ。日ごろから予防することを心がけておくことが一番大事なんだよ。日本では「事故は偶然起きるもので、事故にあっても運が悪いとあきらめる」という考え方が根強いんだけど 、本当は「多くの事故はそれなりの原因があって起こるものであり 、原因さえわかれば具体的な対策を講じて予防することができる」ってことに早く気付いて欲しいんだ。

 外国では、すでに20年〜30年前には事故対策の重要性が注目されていて、国立の事故予防センターが設置され、この事故予防センターが中心となって 、国家レベルの事故防止活動を展開しているんだって。

 今の日本の現状はというと、以前先生のお友達のある小児科医が子どもの事故予防センターの必要性を厚生労働省に訴えたことがあったんだけど、省の中には適当な担当する課がないということで一蹴されてしまったらしいんだ。予防接種事業だって世界の目から見れば随分遅れをとっているのが今の日本の子どもたちの福祉レベルの現状。つまり日本では少子化対策とか何とか言ってるけど、いままで子どもがいかに国から守られてきていなかったのかがよくわかる。

 でもね、そのお友達の先生はそれにもめげず、事故を科学的に解明して予防につなげようとするプロジェクトチームをつくるらしいんだ。(前にNHKの番組にそのことで出演していたよ)

 病気を治すことはもちろん大切なんだけど、日本の将来を担う大切な子どもたちを事故から守ることを、私たちも含めて社会全体で取り組んでいきたいし、みんなと一緒に考えていきたいと先生は言ってるよ。

 以前ドラえもんのポケットにも子どもの事故のことを書いているんだけど、もしよかったらまた見てね。(先生の医院にもおいてます)


ドラえもん



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