先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その43 ドラえもんが白くなったの巻


 皆さんこんにちは、ぼくドラえもん。あれだけ暑かった夏も過ぎて、すっかり秋めいてきたけど、皆さんの食欲は戻った? 先生は相変わらずの夏ばて知らずで、体重はうなぎのぼり。腹囲も優に85cmを超えている。だれかいい処方を先生にしてあげて!

 今日は貧血の話だよ。大切なことだから良く聞いててね。

 顔色が悪い、立ちくらみがする、などの理由で、貧血を心配して来院されることが多いんだけど、必ずしも貧血が原因じゃなくていわゆる脳貧血のことも多いんだ。脳に流れる血液が一時的に減ったためにおこっている状態。だからまず、貧血の診断のためには必ず血液検査が必要なんだ。血液の赤い色の素であるヘモグロビンの値で貧血の程度がわかるんだ。6歳までなら11g/dl、12歳までなら12g/dl以下で貧血という具合。

 貧血と言ったって、いろんな原因があるんだけど、子どもで一番多いのが、鉄欠乏性貧血。人間では、鉄は赤血球を造るのに絶対必要なんだ。特にヘモグロビンは鉄からできるので、鉄が減ってくるとヘモグロビンが減ってくるというわけ。だから鉄が減ってくると血液が薄い赤色になるってことだね。鉄が減り続けると、赤血球の大きさも小さくなり、やがて赤血球の数も減ってくるんだね。ではどうして鉄が減って来るのかっていうと、原因は様々で、鉄が含まれている食べ物を十分にとっていない場合、鉄をたくさん摂っても胃の状態が悪く吸収できない場合なんかがあるらしい。胃潰瘍の原因とされている胃に住み着いているヘリコバクターという菌が原因であることもあるんだって。思春期なんかでは、スポーツ選手のように運動が激しいと鉄が不足しているように見える見かけ上の貧血の場合もあるんだよ。

 最近の研究では、乳幼児の鉄欠乏が知能や、精神、神経、運動機能の発達の遅れの原因となっていることがわかってきたんだって。やはり貧血には注意を払っておく必要があるってことだよね。

 治療としては鉄を摂ることが一番なんだよ。子どもの場合は注射じゃなく 、口から飲むことが基本なんだって。もちろん鉄の多い食事を摂ることも大切なんだけど、あまり鉄ばかりに注意するのではなくて、バランスがとれた食事をすることが一番大切。レバーやひじきや、のり 、大豆、小松菜などに鉄が多いんだけど 、ビタミンCも一緒に食べると吸収がよくなるんだって。インスタント食品やスナック菓子はバランスのとれた食事に対する食欲を減らすだけでなく、鉄分があまり含まれていなしし、鉄の吸収を邪魔する物質も含まれているのであまり良くないんだよ。

 薬は2ヶ月以上続けることになるんだけど、一旦治ってもまた繰り返すことが多いのが鉄欠乏製貧血なんだ。治療が終わっても半年たたらまた調べ直してね。


ドラえもん



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