先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その44 ときにはこんな話もの巻


 こんにちは、ぼくドラえもん。最近ドラえもんのポケットの話が難しいというクレームもあったので、先生も大好きな下ネタ話をするね。 



1)精巣水瘤(せいそうすいりゅう)

 やさしい話をするって言ったのにいきなり小難しい病名がでてる。「たまたま」は医学的に言うと精巣と言うんだけど、やっぱり二つあるから「たまたま」というんだろうか。睾丸という言葉は今は使わなくなったのは漢字が難しいからだろうかとしばらく考えてしまったけど、今日の話の中心はこれではないのでここまでにして、精巣水瘤に話を戻すね。これはいわゆる「きゃんたま袋」に水がたまった状態のこと。正確に言うと精巣そのものに水がたまったわけではなくて、その周りに水がたまった状態なんだ。水だから触るとやわらかいんだけど、水がたまった場所によっては固いこぶのようになっていて、精巣が3つあるように見える。「たまたまたま」の状態だね。生まれたての赤ちゃんでも水がたまっていることがあって、水がたくさんたまって袋が大きい時は針で刺して水を抜いていた時代もあったんだ。でも最近は抜いてもまた溜まるし、感染を起こすこともあるので、そんなことはしなくなった。3歳まで待って、本人が気にするようならば、手術するんだよ。できるだけ自然に任せるということだよね。

2)停留精巣(ていりゅうせいそう)

 袋に玉がない状態のこと。もともと「たまたま」は赤ちゃんのおなかの中で造られるんだ。その後ゆっくりと袋の中まで降りて来て、生まれてくる頃には95%の赤ちゃんでは袋の納まっているんだ。生後3ヶ月を過ぎるともう降りなくなるらしい。本当に男の体って神秘的だよね。

 で、治療はどうするかって言うと、生後6か月から2歳までに手術を行なうんだ。理想は1歳前って言われているらしい。ずっとおなかの中にいると、精巣が壊されてしまうからなんだって。

 治療の目的は、3つあるんだ。1番目は不妊症。思春期前に手術を受けた人が男性不妊症になる確率は高く、早く手術をするとその率は減ってくるんだって。おなかの中は外より温度が高いってことが原因のひとつだと考えられているんだ。2番目は精巣腫瘍。停留精巣から将来腫瘍が発生する頻度は正常より4倍から7倍高いんだって。早く手術をすれば腫瘍にならないかどうかについてはまだはっきりわかっていないんだけど、精巣がおなかの中にあるより袋の中にあるほうが発見しやすいことも事実なので、手術を勧める理由になっているんだ。3番目は精巣捻転をおこしやいということ。特に精巣捻転は急な腹痛を伴い、緊急手術が必要な病気なので、小児科医は見逃せない病気の一つ。



 うーん、こうしてみると、おしもの病気も知らないと損ソンだね。


ドラえもん



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