先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その46 利き手はどちらの巻


 皆さん明けましておめでとうございます。昨年はいろいろお世話になりました。今年も先生ともどもドラえもんのポケットもよろしくおねがいします。

 今年早々にご質問をいただきました。

 「左利きは矯正しなくちゃいけませんか?」

 うーん、ちょっと難しいけど、先生から聞いたお話をするね。

 実は先生も左利きってことを知ってた? 子どもの頃、お箸を左手、お茶碗を右手に持って食べようとしたらお母さんに怒られたことを覚えているんだって。昔のことだから、左利きを矯正されていたんだね。なものだから、ほとんど今は右手を使って生活している。でもね、細かい作業をするとき、例えばはさみで紙などを切るときとか、歯ブラシで歯を磨くときとかは左手を使っている。

 世界に左利きがどれ位いるかという研究があるんだけど、人種間の差はあまりなくて約10%位なんだ。利き手はいつ決まるか皆さんは知ってる? 40年以上も前に利き手の研究をしている学者がいたんだ。どんなことでも一生懸命にやれば立派な世界的な研究になるもんだね。それによると、数十人の子どもを生後8週から10歳までのあいだ映画にとってずっと調べた結果、右利きになった子どもも、左利きになった子どもも4歳頃に利き手が決まっていたんだって。それまでの小さい間は、左を使ったり右を使ったり利き手が交代するらしい。

 その論文によると、赤ちゃんが将来左利きになるか右利きになるかもおおよその見当がつくんだって。そのヒントは向きぐせにあるんだ。右を向いて寝る赤ちゃんは右利きに、左を向いてねる子は左利きになるという結論なんだ。

 ここで問題の左利きを矯正するべきかどうかということなんだけど、これは左利きがなぜ起きるのかという原因に関わることなんだ。詳しい話は省略するけど、要するに、「左利きになるにはそれなりの理由が脳にあるわけだから、無理に矯正することは有害無益である」とするのが現在の考え方なんだよ。ただし、この世の中は右利きの人が住みやすく出来てるのも事実。たとえば和バサミもその一つ。親指と他の4本を入れる穴の大きさが違うものだから左手では使えない構造になっている。それを無理して使うには、ひっくり返すしかない。多分左利きの人しかこの苦痛はわかってもらえないって先生は言ってたよ。

 でも左利きの人は大体左右両方使える人が多い。これはとても便利で、例えば外科の先生なんかは皮膚の縫合をするためには左手をうまく使えなくちゃいけない。そのために左手で食事をする練習をするくらいなんだ。つまり、矯正を強制してはいけないけど、うまく両方を使えるようになれば便利なように世の中はできているということなんだ。


両足使いが上手なドラえもん



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