先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その50 赤ちゃんはストレスだらけその1の巻


 こんにちは、ぼくドラえもん。ようやく花粉症のシーズンも終わり、先生はやっと一息ついている。マスクから解放された先生、人生がバラ色に見えるって言ってたよ。

 さて、今回も先生がある雑誌に投稿した文章を掲載するね。先生が一番重要だと考えている、お母さんと赤ちゃんの大切な関係についてだよ。



「ドッカーン、グラグラグラ・・・

 平成7年1月17日未明、阪神淡路大震災が起きました。住居を失った住人たちは、仮設のプレハブに住まわざるを得ないことになりました。住み慣れない環境に住人たちのストレスは高まり、多くの方が心身症を起こしました。大人たちと同様に、眠れない、少しのことに涙もろくなったり興奮するなど、不安を抱える子どもたちも増えていました。そしてミルクを飲まなくなった、抱っこをしないと寝てくれなくなったなどのストレス症状を持つ1才に満たない赤ちゃんも増えていたのです。母親が不安を持つと赤ちゃんはその不安を感じとっていたのです。

 生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんは、とても大切なやり取りを開始します。お母さんは赤ちゃんにタッチし、目と目を合わせ、赤ちゃんに合わせて体を揺らせてあげます。そしておっぱいから大切な免疫を与え、お母さんのにおいや暖かさなどの刺激を与えています。そんなお母さんからの刺激に対して、赤ちゃんはお母さんを見つめ返し、時に泣き、逆に赤ちゃんのにおいをお母さんに伝え、お母さんに合わせて赤ちゃんも体を動かします。これを難しい言葉ですが、母子相互作用といいます。この積み重ねで、母子の間に心の絆がつくられるのです。

 赤ちゃんは、他人と深くつき合い、自分の表現を読み取ってもらい、そして逆に他人の気持ちを読み取るという、これからの人生にとって大切な対人関係を母子相互作用から学んでいるのです。

 もし、お母さんとの心の絆ができないと、赤ちゃんはストレスを受けやすくなります。赤ちゃんが見せるストレス症状としては、ミルクを飲まなくなる、飲んでも吐いてしまうなどの食事に関するものや、寝なくなった、夜泣きをするなどの睡眠に関するものが多いのですが、他にも気になる症状があります。

乳児期前半:あやしても笑わない、音に敏感である、喃語が少ない など

乳児期後半:人見知りをしない、視線が合わない、声かけや名前を呼んでも反応がない、表情に乏しい、ジェスチャーに反応しない など

 ストレスは愛情不足だけで起こるのではありません。来月は、赤ちゃんがストレスを受けない環境について考えていきます。」



最近子育てが難しいと感じ始めたドラえもん



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