先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その55 これでひとつ前進の巻


 こんにちは、ぼくドラえもん。ようやく涼しくなってきたけど、今度は風邪を引かないよう気をつけなくちゃね。

 今日はうれしいニュースだよ。以前インフルエンザ菌の話をしたけど覚えているかな?そのときの復習だよ。

 「インフルエンザ菌はとっても怖い菌で、敗血症や髄膜炎といった、場合によると死亡したり、死亡しなくてもひどい後遺症を残す病気を引き起こします。最近では日頃からの抗生物質の乱用で、抗生物質が効かないインフルエンザ菌(Hi菌)が出てきて医師の間では大きな問題となっているのです」と説明したけれど、今日はもう少しこの菌の話をするね。

 細菌性髄膜炎という病気があるんだけど、これは医師として絶対見逃してはいけない怖い病気なんだ。見つけたら一秒を争って、抗生物質を投与しなくちゃいけないんだ。細菌が頭の中に入り込んで、頭の中のあちこちに膿を作って行くというイメージを持ってもらうとわかりやすいと思う。

 この病気は治りにくいばかりか、難聴やけいれんなどの後遺症を残すことが多いんだ。この細菌性髄膜炎を起こす一番多い原因菌が、インフルエンザ菌なんだ。前にもお話したように、これは毎年冬に流行するインフルエンザを起こすウイルスとは別物だから間違えないでね。

 このインフルエンザ菌にはa型からf型まで6種類あるんだけど、全部が髄膜炎を起こすわけではなくて、b型菌が一番悪さをするんだ。で、Hib(ヒブ・・b型インフルエンザ菌の略)とよばれているんだ。毎年5才までの子どもの約600人が、この病気にかかっていると推定されている。半数以上は1才までの子どもに集中し、15〜20%の子どもに後遺症が残り、5%が死亡しているとの報告があるんだよ。しかも20年前と比較して、日本では増加してきているんだ。

 こんな怖い病気を起こすヒブに対し、実は以前からワクチンはあったんだよ。アメリカやヨーロッパでは、いち早く導入したんだけど、その効果は劇的で、ヒブによる髄膜炎は激減し、すでに過去の病気になっているんだよ。

 そんなワクチンが、やっと日本で認められたって先生とても喜んでいた。まだ任意接種で無料ではないんだけど、これは大きな進歩だよね。接種時期は三種混合ワクチンと同じで、1才までに3回、1年後にもう1回追加すればいいんだ。三種混合ワクチンと同時接種すればいいよね。アメリカでは三種混合ワクチンの中に、すでにヒブワクチンが混じったワクチンを使用しているんだよ。

 あとはWHOが推奨しているように、定期接種になればいいよね。世界では約100カ国で定期接種プログラムに組み込まれているんだよ。発売までもう少しかかるけど、自分の子どもは自分で守るという気持ちで、ぜひ打っておいてほしいと先生は真剣に考えています。


ドラえもん



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