先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その61 ワクチンで流行を防ごうの巻


 こんにちは僕ドラえもん。

日一日と暖かくなってきたね。今回は昨年流行して大きな問題になった麻疹のお話を先生からきいてきました。

 一般的に麻疹(はしか)は子どもの病気だと思われているけど、実はそうでもないってことは昨年の大学生の間の流行で証明されたよね。大人だから軽く済んだかというとこれもそうではない。かえって大人が罹ると成人麻疹と言うんだけど、重篤な合併症を伴うこともわかっているんだ。どんな合併症かというと、肺炎・麻疹脳炎・重症出血性麻疹などで、時には死亡にいたることもあるくらいなんだって。また妊産婦がかかると流早産を起こすことも報告されているんだ。 

麻疹にかかった大学生を調べてみると、子どもの時に麻疹のワクチンを打っていない人もいたけど、実は1回ワクチンを打った人もいたんだよ。ワクチンを打っていても時間が経ったために、抗体(免疫力のこと)が無くなってしまっていたんだね。最近の研究では、多くのワクチンは一回打っただけでは、一生涯免疫が続く終生免疫を持たないらしいだ。

では、どうすればよいかというと、ワクチンを2回以上打って予防するしかないんだ。今、子どもたちには生後1歳の1年間と、小学校入学前の1年間の2回に麻疹ワクチン(今は麻疹風疹混合ワクチン)を打つことが定められているよね。そして、今年から中学1年や高校3年生にも一時的な措置だけど、ワクチンを打つことが決まったんだ。すでに今年高校を卒業した人も抗体を検査して、低いあるいは持っていないようならば、自費だけど、ワクチンをお勧めすると先生は言っていたよ。

それとこのワクチンはとってもすばらしいワクチンだと言うことも知っておいてほしいんだ。麻疹の特徴はとてもうつりやすいということ。患者さんと20分間一緒にいるだけで罹ると言われている。なかには6分でうつったという報告もあるんだって。そんな流行しやすい麻疹も患者さんとの接触後72時間以内にワクチン接種をしたら、発症を予防できる可能性が高いんだって。

アメリカではワクチンの2回接種で麻疹は撲滅できている。昨年小流行があって問題となったんだけど、原因を調べてみるとどうも日本人がアメリカに持ち込んだものらしい。下手すると高額な訴訟問題に発展するかもしれないんだって。こんな麻疹輸出国の汚名を着せられないためにもワクチンによる予防をお勧めします。


ドラえもん



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