先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その79 これからの予防接種の巻


 今日は、僕ドラえもん。

 昨年からヒブワクチンが導入され少しずつ打たれ始めてきたけど、今日はこれ以外にも新しいワクチンが検討されているというお話だよ。

 みんなは肺炎球菌という言葉を聞いたことがある? 今の世の中で怖い細菌を4つ上げろといわれたら、インフルエンザ菌b(ヒブ)、黄色ブドウ球菌、A群連鎖球菌(溶連菌)、そして肺炎球菌があげられるんだ。特に、この菌とヒブは怖いものの双璧で、子どもの敗血症とか髄膜炎とかいった大きな感染症のほとんどがこの二つの菌がおこしているんだ。アメリカではヒブワクチンが導入されてから、ヒブによる感染症が激減したというお話をしたことがあるんだけど、実は肺炎球菌ワクチンもそうなんだ。すでにアメリカでは9年前に定期接種として導入されていて、その効果はできめん。この菌による感染症は激減し、重要な感染症とはみなされなくなってきているんだよ。このワクチンは日本では老人向けにすでに承認されている。なぜ子どもには承認されていないかというと、実は日本で承認されているワクチンを2歳以下の子どもに打っても効かないんだ。アメリカでも子どもには大人と違うワクチンが打たれている。早く日本でも打たれる日が来ることを願っていたんだけど、たぶん今年中にようやく承認される予定なんだって。でもアメリカと違って、日本では定期接種になるにはまだまだ時間がかかりそう。ヒブワクチンと同じで、はじめの年に3回、1年後に追加の1回と、計4回打つ必要があるので、親の負担も増えちゃう。でも病気に罹ることを考えれば、メリットは多いと思うって先生は言ってたよ。

 もうひとつ新しいワクチンを紹介するね。子どもには直接関係ないけど、多くの女性を苦しめている病気のひとつに子宮頸がんがあるよね。現在、成人女性の癌のうち、2番目に多い癌なんだ。実はこの癌の原因はパピローマウイルスというウイルスが引き起こすことがわかっているんだけど、このウイルスに対するワクチンもすでに開発され世界100カ国以上で採用されているんだ。病気になってからでは遅いのでアメリカでは11歳から12歳に打つように推奨されている。このワクチンも今年中には承認される予定なんだよ。

 二つともうれしいニュースだけど、アメリカではすでに16種類のワクチンが定期接種化されている一方、日本ではまだ9種類のみ。早く定期化されて、親の負担がなくなればいいのにね。


ドラえもん



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