先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その85 耳よりな二つの話の巻


 皆さん今日は、僕ドラえもん。今年は昨年と違って花粉量が少ないためか、花粉症の先生はとても楽そう。皆さんはいかがですか?

 今回は二つ先生から聞いてきました。まず最初はワクチンの話です。以前からドラえもんのポケットでは、ヒブワクチンの重要性についてお話してきましたが、1回7千円から8千円とやや高く、小さい子では4回も打たなくてはいけないので親の負担が多いのが難点でした。市の関係者の方にお願いし、多くの市会議員に働いていただいたおかげで、西脇市ではこの4月から毎回のワクチン接種に4千円の補助金が出ることになりました。そのうちの半分は兵庫県が出しています(他の自治体でもありますが、自治体によって補助額がちがいます)。県や市がヒブワクチンの大切さ、細菌性髄膜炎の怖さを認識した上で補助金を出しているのです。今はヒブワクチンだけだけど、将来はこの2月に発売された肺炎球菌ワクチンにも適応される可能性があります。この二つのワクチンの接種で諸外国では細菌性髄膜炎が激減しています。もっと補助が進んで、すべてのワクチンが無料になればいいのにね。

 二つ目のお話です。最近先生が聞いてきた総合研究大学の長谷川眞理子先生の「ヒトはどこへむかうのか」と講演のお話をします。長谷川先生はチンパンジーの研究をずっとされています。なぜ600万年前までは同じ生物だったヒトとチンパンジーが、現在ではヒトだけが地球環境を破壊するくらいの不自然な発達を遂げてきたのだろうかという疑問から研究をはじめられたとのことでした。ヒトの脳は同じ体重の霊長類が持つはずの脳の3倍もあります。ではどんな難しい問題を解決するためにこんなに脳を発達させたのかというと、森からサバンナに進出したヒトが、困難な生活環境でも生き残れるように他者と共同するためだったということでした。他者と共同して生きるためには、他者を理解し共感し他者と共同作業することが必要です。このためにはコミュニケーションをはじめ、自分を相手に伝えそして相手を知ることが不可欠です。結果脳が巨大化し、一人では生きられない生活様式を選んだことになりました。

 また動物では出産が終わったメスは死に行く運命にありますが、ヒトではいつまでも長生きしています。なぜ年老いたメスがヒトのみに存在するかというのが次の疑問でした。結局わかったことは、年老いたメスたちは子どもを共同作業して保育し、社会に適応できるように教育するために必要な存在だったということでした。年老いたメスがヒトの文化を子孫に継承するという重役を担っているということです。翻って日本の現状はどうでしょうか。地域の崩壊に伴う共同作業の衰退問題、女性の教育機能の低下はないかなど、考えさせられることばかりだったと先生は言っていました。


ネコ型もいいと思っているドラえもん



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