先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その86 思春期を考える


 皆さんこんにちは、僕ドラえもん。今年は去年と違って花粉量が少なかったので、夜はちゃんと寝られて楽だねって、毎年この時期苦しんでいる先生が言ってたけど、皆さんはどうだった? 

 4月のはじめに先生は予防接種のことでテレビ出演したんだけど見てくれたかな? お金はかかるけど子ども手当てを利用してヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンを打ってあげてくださいね。

 さて今回は少し志向を変えて、これからの小児科についての先生のお話だよ。




藤田先生から一言》

 「小児科っていうのは子どもを診る科だというのは勿論知っていると思いますが、じゃあ一体何歳までが対象なのか考えたことはありますか? 一般的には生まれてから15歳(中学校卒業)までになっていますが、それじゃあ16歳から20歳までは誰が診るのでしょうか?普通に考えれば小児科の次は内科なんだけど、はたしてそれでいいのでしょうか? 

 WHOは10歳から19歳までを思春期とよんでいます。この時期の子どもはあまり病気をしないとかつては思われてきましたが、そうでもないことがわかっています。幼い頃から腎臓病や糖尿病などの慢性の病気を患いながら思春期まで成長した子どもや、新たにこの時期にいろんな問題を抱える子どもがいるのです。この時期に出てくる問題といえば、?発熱や咳頭痛などの風邪のような病気、?肥満・高血圧・糖尿病などの生活習慣病、?貧血・低身長・月経異常・思春期の遅れなどの成長・成熟に関連する問題、?学習障害・注意欠陥多動症のような発達に関する問題、?妊娠や性感染症などの性の問題、?薬物依存・不登校・心身症・摂食障害・自殺などの精神科的な病気など多種多彩です。一般的には内科は壮年・老年が主な対象で、思春期までとてもカバーしきれていません。私達は一体誰に相談すれば良いのだろうかと思春期まっ只中の子ども達は思っているに違いありません。

 小児科医はこれらのものすべてを包括的に見られる唯一の科ではないだろうかと先生は今考えています。勿論小児科医一人では全部をカバーできないので、いろんな科の先生方と相談しながら取り組まなければなりません。でも体の問題と心の問題をあわせて考え、他の科とうまくコーディネートしながら、相談に乗ってあげることは常日頃から小児科医が行っている事なのです。勿論すべての小児科医で可能なわけでは有りません。実際今、思春期外来を行っているのは限られた病院小児科医だけで、開業医で手をつけている人は本当に少ないのが現状です。でも心ある小児科医はこれからの小児科は思春期が大きな問題となると考え勉強を始めています。ぜひとも思春期の子どもと親たちには健康に関する相談相手として小児科クリニック医がいることを知っておいて欲しいのです。」


思春期知らずのドラえもん



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