先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その87 夏の病気は水ものの巻


 皆さん今日は、僕ドラえもん。

 今年も早いものでもう6月。ようやく夏らしくなってきた。前にお話ししたと思うけど、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンのことをお話している先生のビデオが藤田先生のHPにアップされています。また一度見てくださいね。

 さて夏が近づいているということで、今回はプールでうつる病気についてのお話です。

 プールの水は下痢や体についた便の残りなんかで汚染されていることが多いよね。もちろん塩素でプールの水は消毒されていて、多くの病原体は死んでいるんだけど、中にはしぶといものがいるんだ。その代表がノロウイルスとクリプトスポリジウム。ノロウイルスは、食中毒や腸風邪を起こすウイルスとしても有名だよね。感染力が強くて、少量のウイルスでも発病したり、症状が消えても実はまだその後2週間近く便の中に存在している生命力豊かなウイルスなんだ。そのため、下痢便がお尻についていたりプール内で便の失禁があるとプールがこのウイルスに汚染され感染してしまうんだ。

 もうひとつのクリプトスポリジウム(ここではクリちゃんと略します)は皆さんにはあまり聞きなじみがないかもしれない。実はこれは豚牛犬猫ネズミなどにも感染する人畜共通の病原体なんだ。以前新聞に報道されたことがあったけど、山の沢の水を飲んだ後猛烈な下痢を起こした人がいた。調べてみるとクリちゃんがいたんだって。どうやらクリちゃんを持っていた山の動物(ねずみ?)が沢で排便していたらしい。問題はこれが塩素では死なないことなんだ。つまり、この沢の水が川に入り込んで、上水道では消毒されずに、家庭の飲料水にまで入り込む可能性があるということ。ただし70度に加熱すれば心配ないらしい。クリちゃんを持った人間がプールに入ったことが原因で、集団感染を起こした例がほんの数年前に日本でもあったんだ。症状として、知らないうちに水便が何回も何回も出てしまうくらいひどい下痢を起こすんだよ。

 その他、病原性大腸菌などもプールでうつることもあるし、皮膚疾患では、水いぼやとびひなどもうつりやすいんだ。

 みんなの心がけでこれらの多くの病気は防げるんだよ。つぎのことに気をつけて夏を楽しんでね。



プールでうつる病気を防ごう

下痢をしているとき、体調が悪いときにはプールに入らない

下痢が治ってもノロやクリちゃんなどによる下痢をしていた人は2週間はプールに入らない。

プールの水は飲まない

プールに入る前に体を良く洗う。特に小さい子どもの肛門周囲を良く洗う

うんち後、おむつ替え後は石鹸と流水で手をよく洗う

おむつ替えはプールサイド等では行わず、定められた場所で行う

小さい子どもはこまめにトイレに連れて行き、オムツをチェック

タオルなどの共有を避ける


ドラえもん



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