先生のおはなし

連載コラム「ドラえもんのポケット」

その98 子どもからもらった宝物


 こんにちは、僕ドラえもん。今、地震や津波や原子力発電所の事故で、日本がひっくり返っています。こんな時こそ考えねばならないことがあるんだって先生が言ってます。今回はそんなお話を先生にしてもらうね。



藤田先生から一言》


 「このたびの東日本大地震にともなう津波で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた皆様に心からお見舞い申し上げます。 

 私も7年前の台風で床上浸水の被害にあいました。今度の災害とはとても比較にはなりませんが、ひとつ感じたことがありました。当時の私は、こんな文章を残しています。

 『朝から降り続いた強い雨は、夕方には川からあふれ出しました。足下に迫ってくる泥水に浸からせまいとして、カルテやコンピューターや書類を台の上に上げたのですが、浸水した水の量が多く、結局すべて水に浸かってしまいました。そしてまもなく停電しました。家にも帰れず医院の2階の窓から外を眺めていると、車道には水の中を渡っていくボートが、そして医院の駐車場には冠水した車が見えました。翌朝水が引いた後に残ったものは、床や壁にへばりついた独特の臭いを放つ泥、泥、泥。すぐに協力を申し出て頂いた多くの方とともに掃除を始めたのですが、泥は医院の隅々まで広がっており、結局改築することになり、その後1ヶ月間は休診しました。精神的にも肉体的に落ち込んでいたそんな折、保育園での健診は私を一変させたのです。かわいい子ども達の笑顔は私を力づけてくれ、元気になっていく自分を実感したものでした。そしてこんな思いが起きてきたのです。大人に未来への勇気ややる気を与えてくれるのは子どもたちの存在なのだ。もし子どもたちがいなければこの社会をより良くしようなんて思えない。だからこそ大人には子どもを守らねばならない義務がある。それは私たち自身のためでもある。そして私の義務は子育てに奮闘しているお母さんも一緒に応援することなんだ。』

 このコラムで何年も書きつづってきたのは、まさにこの子どもたちを守るためなのです。子育て支援と言ってしまえばそれで終わりなのですが、大人がそして地域が日本国中がみんなで考えて欲しいことをここで提起してきたつもりです。でもまだまだ書き足りないことも多く、今後も書き続けなければならないとも思っています。こんな拙文を読んでくださっている方々に感謝していますが、やがて同じ思いをもつ人たちが大きな輪になってひろがって行くことを夢に見ています。その一歩が西脇や多可町や北播磨から始まればいいなとも思っています。

 今、被災地は大変です。でもきっと子ども達が復興への勇気を与えてくれるに違いありません。私たち大人は、過酷な状態に置かれている子ども達をずっとずっと見守って行かねばならないのです。」
 虐待を疑えば通報するのは私たち市民の義務です。でも通報するだけでなく、私たちがストレスや不安をいっぱい抱えている親子に気付いてあげ、信頼できる大人として、虐待のハイリスクの親子の頼みの綱になってあげるのも市民の大切な役割ではないかと思うのです。」



ドラえもん



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